ヘルペス(疱疹)とは小さな水ぶくれ(小水疱)の集まりという意味で、ヘルペスの名がつく主な病気として、帯状疱疹と単純性疱疹があります。前者は水痘をひきおこす水痘帯状疱疹ウィルスの感染によって発症する疾患で、別項でとりあげていますので参照して下さい。
単純性疱疹は単純ヘルペスウィルスの感染によって発症します。よく発症する場所としては、顔面とくに口囲、口唇(口唇ヘルペス)、外陰部(性器ヘルペス)などですが、臀部や手指などにもみられることがあります。症状は、痛みやピリピリ感、時には灼熱感という人もいますが、それらの自覚症状をともなう小水疱の集まりです。帯状疱疹とは異なり再発しやすいのが特徴です。とくに風邪をひいたり、発熱時、疲労時や体調をくずした時にもよく再発します。また日光に長く照射されたあとや、生理のたびに発症する人もいます。
湿疹とくにアトピー皮膚炎などの皮膚病にかかっている人が、このウィルスに感染すると、突然の高熱とともに、もとからある湿疹病変内に小水疱が多数発生し、さらに近くのリンパ節が痛み、腫れあがります。この状態はカポジー水痘様発疹症と呼ばれています。アトピー皮膚炎が増悪したものと思い、ステロイド剤を外用すると、さらに症状は悪化しますので気をつけてください。
また幼児が初めて単純ヘルペスウィルスに感染した時にみられる症状として、疱疹状歯肉口内炎があります。これは高熱とともに小水疱が口内に多発し、それが速やかに剥がれ「びらん」化してきます。歯肉の腫脹もみられ摂食障害をおこします。
治療は抗ウィルス剤が極めて有効ですが、再発防止は難しいとされています。最近性器ヘルペスには再発防止のため、抗ウィルス剤の少量長期運用が保険適応になりました。
東京都板橋区 高島平平井皮膚科